クリエイターとして活躍している杉山桃子さんが立教大学時代に出会った「忘れられない人」とのエピソードを、漫画、エッセイを織り交ぜてつづる連載企画。杉山さんの思い出に触れながら、学生時代を一緒に懐かしんでみませんか。




私にとっての学生時代は黒歴史だ。いや、誰にとっても大学時代の思い出というのは輝かしいものだけではないはずで、誰にでも話題に上がりそうになった時にそっと脇によけるエピソードの一つや二つあるだろう。人はアラサーを迎える頃に、大学を卒業したての二十代の時にはわからなかった大学生特有の痛さに気づくのである。厨二病という言葉はもはや世間一般に広まった普通名詞であるが、高二病、大二病というミームも存在している。詮ずるところ、人間二十年生きた程度では恥にまみれた自意識を抜け出すことなどできないのである。
例に漏れず私も痛々しい学生時代を送った一人である。ブチギレて自分がかけてたメガネを自分でぶん投げた時のことを、友人たちはしつこく覚えている。酒を飲みすぎてタクシーの運転手さんに多大なご迷惑をかけたエピソードは、作家業を営む祖母が本に書いたらしい。脇に置いておきたい黒歴史を勝手に公開する人間が家族にいると、プライバシーなんてあったもんじゃないのである。まあ、私は読んでいないから私の中ではなかったことである。いや大学生なんて全然大人じゃないし、大学という場所は人を余さずしょうもなくする魔境であるが、その中にあっても私のスッポコ具合は群を抜いていた。いまだにこんな私と遊んでくれる友人たちには「よくまだ友達でいるなあ」と感心する。こんなヤツ他にいなかったけど大丈夫そ?
もしかしたら私は観察対象としては面白かったのかもしれない。スッポコ珍生物だった私を面白がって、私と出会ってくれた人々を、今度は私が観察してここに記していこうと思う。
次回 ≫ 第2回 7月15日(水)更新予定
杉山 桃子(すぎやま ももこ)
文学部文学科文芸思想専修2014年卒業。株式会社遊晶クリエイティブ代表取締役。テレビ番組制作会社を退職後、現在は「青乎(あを)」名義で音楽、映像など創作活動を行う。小説家・佐藤愛子を祖母に持ち、バイタリティあふれる仕事ぶりを見せる一方、祖母として家族と過ごす日々に焦点をあて、孫の視点でコミカルにつづったコミックとエッセイを『婦人公論』にて連載中。著書に『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』(杉山桃子名義、コスミック出版、2024年)

