杉山 桃子さん 2014年文学科文芸思想専修卒 クリエイター(青乎)

エッセイ

ウィリホの住人便り「第2回:初めての同期」

クリエイターとして活躍している杉山桃子さんが立教大学時代に出会った「忘れられない人」とのエピソードを、漫画、エッセイを織り交ぜてつづる連載企画。杉山さんの思い出に触れながら、学生時代を一緒に懐かしんでみませんか。

立教大学劇団テアトルジュンヌで初めに出会った3人の同期がいる。そのうちの一人が美少女ちゃんである。美女というより美少女という言葉がふさわしい透明感のある人物である。35歳になろうとする現在も彼女は変わらずその美少女であり続けている。私は美少女ちゃんに敬意を表し、表記の際は美少女(35)と呼ぶことにしている。
美少女(35)の天真らんまんな振る舞いと高い声が美少女感を演出している。私は公演の時期が近づくと大抵青いパーカーに青いツナギを着て作業をしていた。着ているツナギを指さして「青いじゃん? これ青いじゃん?」と言いながらツナギのファスナーを開け、「青い〜〜〜」とドヤ顔で下のパーカーを見せるという、文章にしてもしなくてもどこが面白いんだかわからない持ちギャグがあったのだが、同期の中で彼女だけは何回やっても高らかな声で笑っていた。彼女の声はペッパーくんの声をさらに高くしたような感じである。一度聞き間違えたことがある。
そんなふうに見えて、彼女は絶対に人を敵に回さない接し方を心得ている。大学の頃の人間関係なんて、仲良くしてたって30過ぎる頃には大体どっか破綻しているものだが、彼女はどの人間とも一定の距離で付き合える人物である。私が思うに彼女のほほ笑みにはパーソナルスペースにバリアを張る能力がある。その絶対的な壁がなお一層美少女(35)を美少女たらしめている。絶対アイドル向いてる。
彼女と親交が深まったのはむしろ大学卒業後、私が作詞作曲したオリジナル楽曲のMVに出演してもらったのがきっかけである。彼女に対する、やりたければやるし嫌なら断れる冷静さがあるだろうという信頼感で声をかけた。出会って16年たった今でも一緒に飲んだり旅行に行ける関係なのは、彼女の、美少女としての才気あってこそである。二十歳の頃のどうしようもないギャグを見せられる相手というのは、大人になった私にはありがたい存在である。

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杉山 桃子(すぎやま ももこ)

文学部文学科文芸思想専修2014年卒業。株式会社遊晶クリエイティブ代表取締役。テレビ番組制作会社を退職後、現在は「青乎(あを)」名義で音楽、映像など創作活動を行う。小説家・佐藤愛子を祖母に持ち、バイタリティあふれる仕事ぶりを見せる一方、祖母として家族と過ごす日々に焦点をあて、孫の視点でコミカルにつづったコミックとエッセイを『婦人公論』にて連載中。著書に『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』(杉山桃子名義、コスミック出版、2024年)

企画担当:内田知織(2014年政治学科)、木田明理(2003年日本文学科)

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