校友が営む食事処から、思い出のあの名店まで。立教ゆかりのグルメ情報をお届けする連載企画「立教ごはん帖」。記念すべき第1回は、第一食堂のカツ丼です。
池袋キャンパスの象徴の一つである第一食堂。高い天井、ずらりとテーブルが並んだ開放的な空間は、まるで映画の世界に迷い込んだかのよう。授業の合間に友人と語らい、サークル活動の前後に腹ごしらえをし、時には一人で静かに過ごす…今も昔も、多くの学生たちが思い思いの時間を過ごしてきました。
そんな第一食堂で半世紀以上にわたって愛され続けているのが、名物の「カツ丼」。誰もが知る名物アナウンサーや有名映画監督も学生時代に親しんだという、まさに伝説のメニューです。
長く愛される理由は、手間を惜しまない調理工程にあります。厨房(ちゅうぼう)では毎朝、大きな塊肉から肩ロースを切り出し、一枚ずつ丁寧にたたいて仕込みを行います。学生食堂でありながら、その工程は驚くほど本格派。おいしさのためのひと手間を大切に守り続けています。さらに、注文が入るたびに小鍋で煮込み、ふんわりと卵でとじて仕上げます。
できたてを頰張ると、豚肉のうま味が口いっぱいに広がります。そして、このカツ丼を語る上で欠かせないのが、長年変わることのない丼つゆです。一般的なカツ丼と比べると甘めの味付けですが、その甘じょっぱさが後を引き、多くの学生をとりこにしてきました。しっかりとした食べ応えがありながら、最後まで飽きのこない、学生食堂ならではの親しみやすい味わいです。
第一食堂が開店した頃、カツ丼は40円でした。当時はとんかつそのものがごちそうだった時代。コンビニエンスストアもなく、学生の食生活を支える学食の存在は、今以上に大きなものでした。昼時には1日2000食を提供することも珍しくなかったといいます。
第一食堂の正面には、ラテン語で「食欲は理性に従うべし」という言葉が掲げられています。これは、哲学者キケロの「欲望は理性に従うべし」という言葉をもじったもの。甘じょっぱい丼つゆの香りが立ちのぼるカツ丼を前にして、理性を保つのは少し難しいかもしれません。
●第一食堂のBefore→After

